巧言令色
|
私は巧言令色が大好きである。たとえお世辞と分かっていても、言われれば悪い気はしない。人間には、そうした快感を求めずにはおれない弱さがある。『論語』に「巧言令色、すくなし仁」という言葉があるが、これはそうした人間の弱さに対する戒めであろう。 組織の中で、歯に衣着せずに言えば遠ざけられることも少なくない。なかには、自分に甘い言葉を注ぐ人だけを近づける人もいる。そうした事例をたくさん見てきた。だから、社会の必要悪として、巧言令色を否定するつもりは全くない。 大学を卒業するときある教授から、「君たちを叱らなかったのはわれわれ教員の怠慢である。社会人になって他人から注意されたら、『無条件に』、まず自分を反省せよ」といわれ送り出された。今もその言葉を思い出し、叱ってくれる人こそ「先生」だと感謝することにしている。
|